【マーケティングに興味を持ったきっかけ】
【マーケティングに興味を持ったきっかけ】
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年11月29日
「マーケティング脳」と言うのがある
「鬼滅の刃」が異例の大ヒットに対して「作品の中身」に興味を持つ人と「どうやってヒットさせたんだろう」という「方法」に興味を持つ人の2種に分かれる。
後者が「マーケティング脳」タイプの人である
ヒットの要因を「品質」に求める人と「仕掛け」に求める人の違いだ。
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もちろん、品質が伴わないと本格的なヒットにはならない。ただし、品質が良いだけでヒットするわけではない。
多くのヒットは「仕掛け」られている。
「マーケティング脳」が優れた人はその「仕掛け」を見抜ける。
私がマーケティングに一番最初に興味を持ったのは高校生の時、父親が買ったビジネス雑誌を盗み読みをした時である。
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その雑誌の記事は当時市場に生まれてきた「テレフォンカード」の収益性を高めるための「仕掛け」の話だった。
当時、公衆電話は3分10円で「硬貨」でしか使えなかったので、長時間使うには硬貨をジャラジャラ用意しなければならなかった
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それをNTTが1枚500~1000円等のプリペイドカードを販売して、それを公衆電話機に入れれば500~1000円分なり通話できる仕組に変えようとしたのである
ユーザーからすれば硬貨をジャラジャラ用意しなくて済むので劇的に便利になる。
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しかし、NTT側からすれば、同じ500円の通話売上でも硬貨の場合は原価が「回線使用コスト」だけだが、カードの場合は「回線使用コスト」にプラスして「カード原価」がかかるため、収益性が下がるのである。
そこで、NTTは「カードを買っても使われなければ回線使用コストがかからないので、収益性が増すのではないか」という本末転倒とも言える逆転の発想でアイデアを練ったのである。
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そして出た「カードを使わせない」アイデアが「テレフォンカードをコレクション対象にさせる」ということである。
たまに発売される「記念切手」や「記念硬貨」という金券相当のものは使用目的ではなくコレクションのために購入される。
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つまり、テレフォンカードをコレクションのために買う人が増えれば売上は上がるが、使用されないので回線通話の原価が発生しない。
劇的に収益性が上がるのである。
そして、そのための仕掛けとして、
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テレフォンカードを最初に世に出した時はあえてグレーの無機質でデザイン性の乏しいものとして世の中にリリースした。
そのような状態でも硬貨に比べると非常に便利なので大ヒットした。もちろん買う人は「使う」ために買った。
そして、それが浸透した頃に満を持して芸術家岡本太郎氏のデザインした4種類のカードを発売した。
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これも大ヒットした。
しかし、買う人は「使う」ためではなく「コレクション」するために買ったのである。
その後、アイドルタレントのブロマイドのようなテレフォンカードなどファンからすれば「使うのが申し訳ない」ようなカードなど次々と「使うのではなく集めたくなる」カードを発売し、沢山のテレフォンカードを世に出した。
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感覚値ではあるが、世の中に出回ったテレフォンカード金額の2~3割分くらいは使われずに眠ったままでなってるのではないだろうか。
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それは全てNTTの「原価のかからない売上」になった。
この記事に衝撃を受けた。
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自分の手元にあるこのアイドルタレントのテレフォンカードは、NTTの仕掛けによって、自分の手元に使われないままあるのだと知った。
高校生ながら
「世の中は『仕掛け』で成り立っているんだな」と知った。
そこからは見るもの全て「どういう仕掛けでこうなったんだろう」と思うようになった
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何かの商品がヒットすると
「どうやってヒットを仕掛けたんだろう」
あるタレントが売れだすと
「なぜこのタレントは売れたんだろう」
と調べるようになった
AKBはファンクラブに入って内側から勉強した
実際には「仕掛け」ではなく「偶然」ヒットしている場合も多い。
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ただ、仕掛けの仕組みを知っていると、それが偶然仕掛けの仕組みと同じ状態になってヒットしていることに気付ける。
そして、ヒットの法則を知っていると自らがヒットを仕掛けることもできるようになる。
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また、世の中に新しいヒットが出るとその仕組みをリバースエンジニアリングして、自分の新しいヒットの法則に取り入れることもできる。
「今、大ヒットの~は売れる前から着目していたので自分は見抜く目がある」と言う人がいるが「いつから着目してた?」と時期を聞くと、大体会社側がヒットするための「仕掛け」を始めた初期であり、その人は単にその仕掛けに乗っただけの事が多い
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改めて言うと日本でのヒットの大半は「仕掛け」られている。
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日本という飽和成熟市場においては「品質が良い」のが当たり前なので、その上に「仕掛け」が乗せられてることで初めてヒットするのである。
※品質が貧弱な場合はヒットではなく「一過性のブーム」で終わる
ヒットの要因を「品質論」だけで考えている人は世の中の仕組みが見えていない。
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ジャニーズが人気なのは「かっこいいから」だけではない。
彼らよりカッコいい人なんて山ほどいる。
ちゃんと仕掛けがあるのだ。
仕掛けが見えると、世の中が全く変わって見える。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年11月29日
そして、世の中が俄然面白くなる。
「マーケティング脳」を身につけよう。
そのために「なぜヒットしたのか」の「仕掛け」を考える癖をつけよう。