【広告メディアは広告主とユーザーとどっちを向くべきか?】
【広告メディアは広告主とユーザーとどっちを向くべきか?】
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
美容健康系の広告出稿主からすると、広告メディアとの付き合いの中で最も頭を悩ませるのが審査部門かもしれない。しかし、審査部があるからこそ広告メディアは成り立っているので、そこは理解すべきである。(続)
メディア審査部の重要性を理解するのに一番いいエピソードはクーポンフリーペーパーの「ホットペッパー」だ。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
今はほとんどwebに置き換わり、発行部数は少ないが、ホットペッパーはフリーペーパー業界を変えるほどの大ヒットをした。
(続)
フリーペーパーは無料配布なので読者からは一銭もお金を貰わず、そのフリーペーパーに広告を出してくれる広告主からお金を頂くビジネスだ(webメディアと同じビジネスモデルだ)。ビジネス的観点で言うとお客様はユーザーではなく広告主なので、どうしても広告主の方を向いてビジネスをする。(続)
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
フリーペーパーに広告を掲載したら、最も効果が得られるのはエステ業界である。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
よってフリーペーパーの広告枠を売る営業マンはこぞってエステに営業に行く。
しばらくするとそのフリーペーパーはエステの広告ばかりになり、「毎号エステ特集号」になるのだ。
(続)
そうなると、いくら無料でも読者が手に取らなくなってくる。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
すると、エステを含む各広告の反応が悪くなり、広告主も離れる。
結局、そのフリーペーパーは広告収入が上がらず廃刊になる。
実はフリーペーパービジネスはこのように次々と創刊されては次々と廃刊になるの繰り返しなのだ。
(続)
フリーペーパーの雄であるホットペッポーも、最初はその罠に陥った。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
全国の各政令指定都市ごとに創刊された地域情報フリーペーパーだったが、エステ広告だらけになって、読者が離れていき、廃刊寸前まで陥った。
(続)
しかし、唯一絶好調だったのが「札幌版」のホットペッパーだった。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
札幌版は編集長が独自に「本としてのクオリティを維持するためにエステ広告比率は広告全体の50%を超えてはいけない」というルールを決めていたのだ。
(続)
営業マンは広告を取るためにいろんなところに営業に行くが、エステは広告を取りやすいのでエステの広告を受注してくる。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
しかし、エステ広告比率が50%を超え出すと、その広告受注を断るか、他業種の広告をもっと受注して他業種広告比率を上げないといけない。
(続)
実際にはエステ広告の掲載を断る事が多かったらしい。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
目先の利益で考えると顧客からの申し込みを断るのはマイナスだ。
必死で営業して受注した営業マンからも不満爆発だったらしい。
(続)
しかし、編集長は「フリーペーパーが広告主ばかりを見ていれば、必ず読者が離れる。読者が離れたら、結局広告主も離れる。読者を見ていればフリーペーパーは必ず広告効果の高い媒体になる。広告効果の高い媒体になれば必ず広告主はついてくる」と言って譲らなかった。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
(続)
結果、全国の各ホットペッパーは「札幌版に倣え!」の号令のもと、エステ広告比率を50%以下にし、飲食店広告を増やした。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
それにより、人気のフリーペーパーとなって、いつしかフリーペーパー最大のヒットメディアになったのである。
(続)
ここからもわかるように、息の長いメディアは必ず「ユーザー>広告主」である。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
立ち上がりのベンチャーメディアは最初は目先の売上のために「ユーザー<広告主」だが、ある段階からこれを入れ替えないと、だんだんとユーザー離れが起きる。
(続)
薬機法違反、景表法違反の広告ばかりが掲載されている広告メディアは、ユーザーが離れていき、いずれ媒体価値が無くる。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
だからネット広告メディアは広告審査部門を設け、ユーザーが離れる可能性があるような広告を審査落ちさせ、必死でメディアのクオリティを守っているのである。
(続)
紙や電波のオールドメディアに比べて、歴史が浅い分と、機械判断の自動化の精度の低さで審査判断力はまだまだ低いが、彼らは必死でメディアを守っているのである。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
今は過渡期なので多少の失敗はしょうがないと思うべきである。
(続)
ユーザーが離れるメディアは潰れる。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日
メディアが潰れたら広告主も販促ができずに困るのだ。
だから、理不尽な審査落ちに納得いかないこともあると思うが、彼らも必死にやってるので、彼らと協力していいメディアを一緒に作っていこうという気持ちで取り組もう。
(続)
我々広告主としては「メディア価値が上がるような広告」を目指していきたいものである。
— 木下勝寿/東証1部社長兼現役D2Cマーケッター (@kinoppirx78) 2020年5月20日